痛みの治療の新たな選択肢
当院ではこれまで様々な痛みに対して、薬の内服や外用、患部の固定、運動リハビリテーション、神経ブロック注射、関節注射、筋膜リリース注射などの注射治療などを積極的に行ってきました。
このたび、さらにプロロセラピーと動注治療という新しい治療を開始しました
プロロセラピー
プロロセラピー(Prolotherapy)は自然治癒力を引き出す治療で、再生医療の原点とも言われています。
高濃度のブドウ糖液を患部に注射することで損傷した筋肉、靱帯、腱、関節の組織を刺激し、組織の自然治癒力を活性化して組織の修復を促し、痛みを改善する治療法です。
体液の2倍から5倍の濃度のブドウ糖液を患部に注射し、患部にあえて軽い損傷を加えて炎症反応を誘発します。この炎症反応で患部の血流が増加し、患部の修復能力が低下した組織を刺激してコラーゲンの生成などの促進して修復能力を高めます。新しく生成されたコラーゲンが組織を修復して強度を早期に回復させ、関節の安定性を向上させることも期待できます。
また、慢性痛では神経が過敏になっているために神経が過剰に痛みを伝達してしまいますが、高濃度のブドウ糖液の注射は神経の伝達を抑える効果もあり、過剰な痛みを抑制します。
変形性関節症などの関節痛、肉ばなれなどの筋肉痛、アキレス腱などの腱炎や靱帯損傷など、加齢に伴う慢性的な疼痛、スポーツでのケガ、長期的なスポーツ障害など、様々な種類の痛みに効果的です。
注入する液体がブドウ糖であるため、妊娠中や授乳中の方でも問題なく行うことができます。注入するブドウ糖の量は最大でも2グラム程度ですので糖尿病などの内科疾患があっても影響はありません。
また注射後の運動制限もないため、シーズン中のスポーツ選手にも最適な治療となります。
プロロセラピーの欠点としては、注射部位に一時的な痛みや腫れがあります。組織や神経を一時的に損傷することが必要なため、1-2日程度は痛みが増強してしまいます。痛みや腫れが数日間続く場合がありますが、時間の経過で確実に軽減していきます。また自然修復を待つため、効果が現れるまで数日~数週間の時間がかかること、ブドウ糖液はすぐに吸収されてしまうため何回か注射を繰り返すことが必要になります。
超音波ガイドを使用して正確に高濃度ブドウ糖液を患部に注入します。1回の注射にかかる時間は3分程度です。通常は2週間ごとに3−5回注射を行います。
痛みや炎症に対して、現在もっとも行われている治療法はステロイド注射です。ステロイド注射の短期的な効果は絶大で、炎症を強力に抑え、痛みを急速に和らげることができますが、組織を弱めてしまうという重大な副作用がありますので残念ながら長期的には組織の損傷が進行してしまいます。(腱の断裂や骨折などのリスクがあります)一方でプロロセラピーは組織の修復、強化が期待できるため、長期的な痛みの改善や再発予防に効果的であると考えられます。
当院は体外衝撃波療も積極的に行っております。衝撃波により組織を刺激して修復を促すことや、過敏な神経の伝達の抑制で痛みを軽減する効果があるため、治療の考え方や効果としてはプロロセラピーと非常に近い治療となります。
最大の利点としては針を刺さなくてよいことで、小児の患者さんやどうしても注射に抵抗のある患者さんの治療が可能です。穿刺する必要もなく、薬剤も使用しないため、毎週の繰り返しの治療が可能となります。
欠点は治療中痛みを伴うこと、プロロセラピーよりは効果が弱いため長期間の治療が必要なことになります。
プロロセラピーと体外衝撃波治療を併用することも可能です。患者さんの疼痛や状態にあわせて治療の選択の幅が広がっています。
動注治療
モヤモヤ血管に、5分で終わる疼痛治療
動注治療とは、痛みの原因であるモヤモヤ血管に対する治療です。モヤモヤ血管は病的新生血管とも呼ばれ、造影剤を使った血管撮影でモヤモヤに見える異常な血管です。慢性的な痛みでは組織の損傷と修復を何度も繰り返した結果、異常な組織ができてしまいます。その組織に異常な病的新生血管や病的神経が増殖してしまうことが、長く続く痛みの原因となることが分かってきました。そこで動脈から薬液を注入して異常な新生血管を詰めてしまうことで痛みを改善する治療が動注治療です。
この治療はオクノクリニックの奥野先生によって2014年に開発されたものです。
当院はオクノクリニックとライセンス契約を結び動注治療を行なっております。
オクノクリニックのデータでは、ヘバーデン結節、足底腱膜炎において動注治療で痛みが半分以下になったと答えた人が7割、ある程度の効果を実感したという人が9割という結果でした。
動注治療の1回目から効果を実感される方が多く、効果は数日から1ヶ月で現れるため、1カ月ごとに2回の治療を推奨しており、治療に要する時間は約5分で終了します。
安静時や夜間に痛い、圧迫すると痛い、起床時の動き始めに痛い、痛む場所に腫れがある、激しい運動で痛む、などはモヤモヤ血管が痛みの原因となっている可能性があります。
代表的な疾患としてへバーデン結節(第1関節の痛み)、ブシャール結節(第2関節の痛み)、母指CM関節症、腱鞘炎、関節リウマチなどの手の痛み、テニス肘、ゴルフ肘、野球肘などの肘の痛み、膝蓋腱炎、鵞足炎、腸脛靱帯炎などの膝の痛み、足底腱膜炎、アキレス腱炎などの足の痛みがあります。
短時間の治療である程度の即効性があり、しかも長期間の効果が期待できる治療です。すでに変形してしまった関節の改善はできませんが、炎症を鎮静化して今後の関節が変形することを抑制する効果も期待できます。
一方治療のデメリットとして、効果が十分に得られない可能性、一時的な患部周辺の不快感、モヤモヤ血管がつまることによる痛みや違和感、穿刺部の出血、薬剤に対するアレルギーなどがあります。
動注治療は安全性の高い治療で副作用の頻度は低く、副作用が発生した場合でもほとんどが数日以内に回復します。超音波で確認しながら患部より上流の動脈に非常に細い注射針を刺入するだけの治療ですので、出血は非常に少なく短時間で止血も可能です。治療終了後の日常生活の制限も特に必要ありません。
使用する薬剤は以前から使用されていて安全性の高いチエナムという抗生物質です。チエナムが水に溶けにくく粒子状になる性質と、病的新生血管は血流が不安定で詰まりやすい性質があることを利用しています。正常な血管はモヤモヤ血管よりも血流が良好であるためチエナムの粒子で短期間の血流低下は起こりますが、完全につまってしまうことはありません。皮膚の色調の変化は治療の反応として起こりますが、通常5分から30分程度の時間で改善します。
動注治療には健康保険が適用されませんので自費診療となります。自己負担額は初回20,000円(税込)となります。
いままで他の医療機関で治療方法がないと言われた、治療しても効果が得られなかった、などお悩みの患者さんは一度当院にご相談ください。
